レインズの仕組みや役割について

不動産売却を検討する際に、必ずと言っていいほど耳にする「レインズ（REINS）」という単語。
レインズは、売却活動の成功を大きく左右する重要なツールです。
レインズを理解し、スムーズで安心な売却を目指すために、この記事では、レインズの仕組みや役割、売却活動における活用方法などを詳しく解説します。

レインズ（REINS）とは？

レインズ（REINS）は、国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営する、不動産情報のネットワークシステムです。
英語では「Real Estate Information Network System」の略称となります。
レインズには、現在売却や賃貸に出されている家やマンション、土地などの不動産情報が掲載されています。
このシステムには、現在売却・賃貸に出されている物件情報はもちろん、過去に取引された物件の成約価格や成約年月日情報も含まれています。
ただし、これらの情報は不動産会社のみが閲覧可能で、一般消費者には直接アクセスができません。その理由は、レインズには個人情報や物件情報など、様々な機密情報が含まれており、一般公開がされていないからです。
また、もしも万が一レインズで扱われる情報が漏洩したり、不正な取引が行われたりした場合、責任の所在を明確にするために、利用者は宅地建物取引士の免許を持つ不動産会社に限定されているのです。

レインズの役割と仕組み

レインズの主な役割は、不動産業界全体で不動産の取引を円滑に進めることです。かつては、不動産情報は各不動産会社が独自に保有しており、情報共有が進んでいませんでした。
その結果、消費者は希望の物件を探すために複数の不動産会社を訪問し、情報を収集する必要がありました。これは、時間と労力がかかるだけでなく、希望に合致する物件を見つけにくいという課題がありました。このような課題を解決するために、不動産会社間で物件情報を共有できるシステムとしてレインズが誕生しました。レインズは、各不動産会社が所有する物件情報や成約事例をデータベース化し、ネットワークを通じて共有することで、消費者は複数の不動産会社を訪問することなく、希望に合致する物件を効率的に検索できるようになったのです。
また、レインズには現在売買可能な物件情報の詳細以外に、過去の取引データも閲覧することができます。

レインズを利用するメリット

前項で説明した通り、レインズには、売買契約の成約価格や成約年月日情報など、過去の取引事例も掲載されています。
そのため、家やマンションなどの査定価格や売出し価格を決める際の根拠として活用することが可能です。
安全で公平な不動産取引を促すことができる物件情報を登録して公開することで、売主は自分の物件が適切に取引されているかをチェックできるため、より安全で公平な不動産取引を実現できます。
また、物件を売る際には、不動産会社と媒介契約を結ぶ必要があります。
媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。
このうち「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」ではレインズへの登録や登録証明書の交付が義務付けられます。
また、依頼主に対して販売状況を報告する義務がありますので、売主は逐一状況を把握することが可能です。
一般媒介契約によって売り出された物件でもレインズに登録は可能ですが、不動産会社が販売活動を怠る懸念があります。
契約に至った不動産会社だけに売主・買主から仲介手数料が支払われる仕組みになっていますので、結果的に、複数の不動産会社と一般媒介契約を結んでいると、積極的な販売活動をしてくれない不動産会社もあります。
その為、一般媒介契約を締結する場合にも、信頼のおける不動産会社に依頼するのが良いです。

レインズを登録する上での注意点

レインズは、多数のメリットがある利用価値の高いシステムです。
しかし、いくつか注意点はありますので、これを把握していないと失敗することもあります。不動産の売却をスムーズかつ、トラブルなく進めるためにも、注意点は把握しておきましょう。

情報のリアルタイムな公開と更新

登録した情報がすぐに公開され、効果的な宣伝が可能な点はレインズのメリットです。
ただし、裏を返すと常に情報は更新され続け、新しい物件情報が掲載されていくともいえます。
つまり、早期に成約出来なかった場合には、新しく登録される物件情報に埋もれてしまいます。
また、長期間成約しないと、何らかの問題がある物件なのではないかと懸念される可能性もあります。リアルタイムで情報が飛び交うからこそ、早めに成約をしないと、宣伝効果が薄くなってしまう危険性があります。
売れ残りを防ぐには売却条件をしっかりと検討し、適正価格にて売出しをすることが大切です。
新規で登録された情報も、条件が悪いと見逃されてしまう可能性が高いため、早いうちに目をつけてもらえるよう、好条件を提示する事が重要です。

不特定多数の人に売却情報が知られてしまう

レインズは不動産業界全体で利用しているシステムのため、登録した時点で不特定多数の人に売却情報が知られてしまいます。
売却情報を広く知らせたくない場合は注意が必要であり、レインズを閲覧できる業者には情報が知られると考えなければなりません。
もちろん、閲覧できるのはレインズに登録している不動産会社に限られますが、それでも不特定多数の人に知られるのは確実であり、現在の管理委託会社などの目にも届いてしまう可能性もあります。
それを避けるには、専属専任と専任媒介契約では登録が義務のため、これは利用せず一般媒介契約を結ぶ必要があります。
また、一般媒介契約でもレインズに登録する不動産会社はいるため、あらかじめレインズに登録したくないという旨を伝えておくとよいでしょう。

まとめ

売主にとって、売却物件の情報をできるだけ多くの購入希望者に知ってもらうために、レインズは非常に重要な売却活動ツールの一環と言えます。
そのため、レインズの仕組みをしっかり理解した上で、どの不動産会社に売却を依頼し、どの媒介契約を選ぶのかが極めて重要です。
レインズに登録することで、全国の不動産会社で物件を検索できるようになり、不動産を売却する際には確実に有効に活用できるシステムです。
ただし、中には囲い込みや売り止めなどを行う会社も存在します。
こうした不動産会社に依頼することを避けるためにも、信頼のおけるパートナー（不動産会社）をしっかりと選定することが重要です。

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