今回は、不動産をご所有の方であれば誰でも一度は考えた事がある相続のお話をさせて頂けたらと思います。
土地や建物などの不動産は金融資産のように均等に分割することが難しいため、親族間でトラブルになりやすい財産でもあります。
そこで今回は、不動産相続で起こりやすいトラブルを実例をもとにご紹介させて頂きます。
今まさに不動産相続に直面している方はもちろん、今後のために準備をしたい方に向けて、不動産相続のトラブル実例と具体的な回避策をご説明させていただきます。
法律に定められた財産の分け方とは?
亡くなられた人の財産を誰がいくらもらうかという分配は法定相続分として定められています。
相続人の配偶者(結婚している相手)は常に相続人とされ、配偶者以外の親族については以下のように順位が決められており、順位の異なる親族が同時に相続人になることはありません。
第1順位:被相続人の子どもや孫(子どもが亡くなっている場合も想定)
第2順位:被相続人の父母や祖父母(父母が亡くなっている場合も想定)
第3順位:被相続人の兄弟姉妹
法定相続分は以下のように分配されます。
相続順位と配偶者/配偶者以外の相続人の法定相続
第1順位(配偶者と子供が相続人)
配偶者の法定相続分 配偶者以外の法定相続分
1/2 1/2
※子供等が複数いる場合は1/2を均等分割
第2順位(配偶者と父母※祖父母が相続人)
配偶者の法定相続分 配偶者以外の法定相続分
1/3 1/3
※ 親等が複数いる場合は1/3を均等分割
第3順位(配偶者と兄弟姉妹が相続人)
配偶者の法定相続分 配偶者以外の法定相続分
3/4 1/4
※ 兄弟姉妹が複数いる場合は1/4を均等分割
今回、私が実際に直面したケースを参照させていただきますが皆さまはどう考えますか。
QA 父の不動産を相続することになった3人の兄弟。各自、不動産査定をしてそれぞれの相続意見が違う。
■家族構成:父親、子ども【 長女、長男、次女】
—被相続人の父親の不動産を相続—
父親の死後、長女は相続について兄弟で話し合いをすることにしました。
長女は不動産を売却して、残った金額を相続したいと主張。
自身でも不動産投資をしている長男は不動産運用を続けたいと主張。
不動産運用や売買は動くことが多く大変と感じた次女は姉兄に任せたい旨を主張しています。
本件のポイントは、
👉父の不動産相続
👉不動産売却後の取得を分けたい長女
👉不動産運用を続けたい長男
👉換価分割にするか代償分割にするか?
このケースですと誰にどれくらい分配されるでしょうか?
【👉父の不動産相続】
そもそも兄弟間では民法で定められた相続割合である法定相続分は平等に与えられた権利になります。
兄弟が自身の法定相続分を請求することは当然の権利ともいえます。
【👉不動産売却後の取得を分けたい👉不動産運用を続けたい相続人】
不動産相続において1つの物件を複数人で相続する場合は大きく3つに分かれます。
①持ち分分割をする→本件ですと3分の1ずつ持ち分を相続する。
②換価分割→売却をして売却できた金額を相続人で分ける。
③代償分割→1人が不動産を相続し、その現物を取得した人が他の共同相続人などに対して債務を負担する。(資産同等価値の分割分の金銭を支払う等)
【👉換価分割にするか代償分割にするか?】
今回のように兄弟で、相続したあとの金銭を分けたい場合は換価分割となります。一人だけが不動産を取得する場合には、共有不動産の分け方として代償分割の方法が考えられます。本件は、各相続人が複数の不動産会社からの査定金額の提示があり、不動産に関する価値のとらえ方が違い、何度も家族会議を重ねた結果・・
長男が不動産の所有者になり代償分割の形をとることになりました。
代償分割とは特定の相続人が現物の相続財産を取得する代わりに他の相続人に対して相続分に応じた金銭(代償金)を支払って調整する分割方法です。
代償金は兄弟間の話し合いにもよりますが、不動産の評価額などに応じて持分割合に相当する金額がその他の相続人に払われ、相続分配は以下になります。
長女 1/3
長男 1/3
次女 1/3
【結論】
兄弟間では法定相続分は平等に与えられた権利のため、兄弟の言い分は認められます。そのため長男は不動産を相続する代わりに、長女・次女に代償金(1/3ずつ)を支払う義務があります。
【QA】
遺産を相続したくない場合はどのようにしたら良いでしょうか。
例えば親に多額の借金があり相続したくないという場合には相続放棄を選択できます。
ただし相続放棄には期間制限があり、被相続人が亡くなったことを知り、かつ自分が相続人であることを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申立てが必要となります。なかには相続する財産に負債があるけれど資産もあるという状況ですぐに判断できない場合もあるでしょう。
そのような場合は、相続放棄をするまでの期間を延長(熟慮期間の伸長)することも可能です。
相続放棄の期間を延長する場合は、申立書と添付書類を揃えて家庭裁判所で手続きを行います。
トラブルを回避するために不動産相続で注意すべきこと
相続問題でトラブルにならないように、今からどんな準備をしておけばよいのでしょう。
事前に備えておくことは、未来を変える大切なポイントです。
1. 生前のうちに話し合いをする
相続トラブルを避けるためには、可能であれば親の意思と子の要求を出し合って方向性を決めておくのが理想的です。トラブルの最も多い原因はコミュニケーション不足により相続人同士が疑心暗鬼の状態に陥ることです。遺産分割に対する考え方にも食い違いが発生し、ますます対立を深めてしまうことにもなりかねません。
2. 遺言書を作成し保管する
親と子供の間で合意していても、遺言書は必ず残しておきましょう。
口約束では親が亡くなった後に、親の意向を証明する手段がなくなってしまいます。遺言書は法律的な強制力を持つという意味でも最も有効なトラブル回避手段です。とはいえ、遺言書が100%有効にならないケースもあります。遺言を残す側は自分の財産を誰に、どのように相続させるかを自由に決められますが、法定相続人には、最低限保障される遺留分があります。
例えば遺言書で長男に遺産のすべてを相続させるとされていた場合でも、一定の範囲の相続人は主張すれば必ず一定の財産が取得できます。仮に長男が要求に応じない場合は遺留分侵害額請求訴訟を提起し、裁判で争うことになるでしょう。
3. 家族信託
仮に、親が認知症になった場合、判断能力もなくなり、自分で自分の財産を管理することができなくなってしまいます。そんな万が一の場合に備えるために家族信託という制度があります。家族信託は親が自分で財産管理ができなくなることに備え、家族に自分の財産の管理や処分の権限を与えておく方法です。親の財産の管理を信頼できる家族に託し、委託者(親)と受託者(子)が信託関係を結ぶことで利用できる制度です。委託者(親)の財産は信託財産として名義が受託者(子)に変わりますが、親は引き続き受益者として自分の財産を使うことが可能です。その後、親が認知症を発症したときは子(受託者)が柔軟に信託財産の処分などの判断をして実行することができます。家族信託は公正証書で信託契約書を作成しますが、専門家への相談料や契約書作成料は遺言書作成より高めとなります。(金額は数十万円程度)
【不動産相続で悩んでいる方、まずはプランインベストにご相談ください】
不動産相続は多額の金銭がからむ問題であるため、親族間でもトラブルになりやすい傾向にあります。さらに法律上の決まり事も複雑であるため、一人ではなかなか解決できないことばかりだと思います。そのため「どのような分配が適切なのか」、「売却すべきか持ち続けるべきか」などさまざまな悩みを解決するには、正しい情報を得ることが必要だと思います。弊社プランインベストでは、不動産の相続に関するさまざま相談を受け付けているため、まずはお気軽にご相談だけでもいただけたらと思います。
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